AI時代の新常識：ネット上の情報が本物か見分けるための基礎知識
はじめに：AIが作る情報とどう向き合うか
近年、人工知能（AI）の技術が目覚ましく進歩し、私たちの身の回りにはAIが作り出した情報があふれるようになりました。スマートフォンで見る記事や画像、動画の中にも、実はAIが生成したものが含まれていることがあります。
中には、まるで人間が作ったかのように自然で、見ただけではAIの作品だと気づかない情報も増えています。そうした中で、「一体どれが本物の情報なのか」「騙されてしまわないか」と不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
このデジタル情報教室では、そうした皆様の不安に寄り添いながら、AI時代の情報を見極めるための基本的な考え方と、日常生活で役立つ具体的なヒントをお伝えしてまいります。難しい専門用語は使わず、分かりやすい言葉でご説明いたしますので、どうぞご安心ください。
AIが作り出す情報とはどのようなものか
AIは、私たちが普段利用するインターネットやスマートフォンの様々な場面で活躍しています。例えば、以下のようなものがAIによって作られています。
- 文章： ニュース記事、商品説明、ブログ記事など、AIが自動で書いた文章が増えています。まるで人間が書いたかのようにスムーズで、説得力のある文章も少なくありません。
- 画像： 実在しない人物や風景、商品の画像など、AIが作り出す高品質な画像が多数あります。一見すると写真と区別がつかないほどリアルなものもあります。
- 音声や動画： 特定の人物の声色を真似たり、顔の動きを合成したりして、まるでその人が話しているかのような音声や動画を作り出すことも可能です。
これらのAIが作った情報は、私たちの生活を豊かにする便利なツールとして活用される一方で、時には誤った情報や、意図的に人々を惑わせるために使われる可能性も指摘されています。そのため、私たちが情報を「そのまま受け止める」のではなく、「これは本当に信頼できるだろうか」と一度立ち止まって考えることが大切になります。
情報を見極めるための三つの基礎知識
それでは、インターネットやSNSで目にする様々な情報が本物かどうかを見極めるための、具体的な三つのポイントをご紹介します。
1. 情報の発信元を確かめる
情報がどこから、誰によって発信されているのかを確認することが最も基本的な第一歩です。
- 誰が言っているのか？
- その情報が、公式なニュース機関、政府機関、専門家の団体など、信頼できる組織や人物から発信されているか確認しましょう。
- 個人のSNS投稿やブログ記事の場合、その人が本当に専門知識を持っているのか、普段どのような情報を発信しているのかを見てみるのも良いでしょう。
- どこに載っているのか？
- ウェブサイトの場合、URL（アドレス）が信頼できるものか、企業の公式ページかなどを確認します。怪しいURLは、公式のものと似ていても微妙に文字が違ったりすることがあります。
- ニュース記事であれば、その新聞社やテレビ局の公式ウェブサイトかを確認することが大切です。
出所がはっきりしない情報や、匿名で語られている情報には、特に注意が必要です。
2. 内容を複数の情報源で確認する
一つの情報源だけを鵜呑みにせず、他の信頼できる情報源でも同じ情報が報告されているかを確認することが重要です。
- 他のニュースサイトを見てみる： あるニュースが報じられていたら、他の複数の大手新聞社やテレビ局のニュースサイトでも同じ内容が報じられているか調べてみましょう。
- 専門家の意見を探す： 健康に関する情報であれば、医師や公的機関のウェブサイトで、同じ内容が説明されているかを確認します。
もし、ある情報が特定のサイトやSNSだけでしか見つからない場合、その情報の信頼性は低いと判断できます。信頼性の高い情報は、たいてい複数の場所で確認できるものです。
3. 不自然さや感情的な表現に注意する
AIが作った情報には、まだ完全ではないがゆえの「不自然さ」が残っていたり、人々の感情を強く刺激するような表現が使われていたりすることがあります。
- 画像や動画の不自然さ：
- AIが生成した画像は、指の数が多かったり少なかったり、背景の物が不自然に変形していたりすることがあります。よく目を凝らして細部を見てみましょう。
- 人が写っているのに、目がどこか不自然だったり、肌の質感がつるつるしすぎている場合もあります。
- 文章や言葉遣い：
- 「絶対に儲かる」「〇〇するだけで治る」といった極端に断定的な表現や、不安や恐怖を煽るような言葉遣いには注意が必要です。冷静な判断を促す内容ではなく、すぐに行動させようとするようなメッセージは、特に疑ってかかりましょう。
- AIが生成した文章も、不自然な敬語の使い方や、同じような表現を繰り返す傾向が見られることがあります。
もし「何かおかしいな」「妙に煽り立てられているな」と感じたら、一度立ち止まって、上記の「発信元を確かめる」「複数で確認する」というステップに戻ってみることをお勧めいたします。
もし怪しい情報に出会ったら
これらの見極め方を実践しても、やはり判断に迷うことがあるかもしれません。もし、少しでも怪しい、あるいは不安に感じる情報に出会ったときは、以下のことを心がけてください。
- すぐに信じない、広めない： 真偽がはっきりしない情報を、すぐに他の人に教えたり、SNSで共有したりすることは避けましょう。
- 家族や信頼できる人に相談する： 一人で抱え込まず、ご家族や親しいご友人など、信頼できる人に相談してみるのも良い方法です。
- 専門機関の情報を参考にする： 「ファクトチェック」という、情報の真偽を専門的に検証する団体やウェブサイトもあります。そうした情報を参考にすることも有効です。
おわりに：情報を見極める力を身につける
AIの進化はこれからも続いていきます。それに伴い、私たちの周りには、より巧妙な情報が流れてくるようになるかもしれません。しかし、今回ご紹介した「発信元を確かめる」「複数で確認する」「不自然さや感情的な表現に注意する」という三つの基礎知識を日頃から意識することで、情報は決して怖いものではなく、上手に付き合えるものへと変わっていきます。
情報を見極める力は、AI時代を安心して生きるための「心のワクチン」のようなものです。一度に全てを完璧にこなそうとせず、一つずつ、ご自身のペースで実践していくことが大切です。
デジタル情報教室は、これからも皆様がデジタル社会を安心して楽しく過ごせるよう、分かりやすい情報をお届けしてまいります。